
2023年
本年もよろしくお願い致します。
京都店には、二枚折れの屏風が飾られています。
蓮の池に鷺が身をひそめるような図柄。
サイズは大人の背丈より高く、幅もあるのでとても見応えがあります。
蓮の花は、小さな蕾、開花、散り始め、そして咲き終わりが描かれており、それぞれに表情豊かで美しい景色になっています。
大きな葉も優雅に佇むように、風になびくように、その姿から蓮の生命力が感じられます。
端にいる白鷺は片足で立っているので、おそらく休んでいるのでしょうね。緊張感のない静かな水辺であることが伺えます。
たくさんの情報が大胆に描かれているわりには、この屏風には圧迫感がありません。反対に屏風の奥へ広がっていくような、自分がその景色の中に入っていくような印象を受けます。
全体が淡い色彩で描かれていることで、静寂の朝もやの中にいるような気持ちになります。
こんな柔らかで静かな景色は、眺めていると気持ちが落ち着いてきて、居心地の良い時間を過ごすことができます。

数日後、この屏風は広げて壁に掛けられていました。
床に置いてあった雰囲気とは少し違って見えます。
見る人の目線の位置が変わるだけで以前の印象とは違ったものが受け取れます。
どこに、どのように配置するかは、鑑賞する上で大切な要素なんですね。床に座ることが多い日本の生活環境と椅子に座る西洋の生活スタイル。
今ではどちらでも楽しめる屏風です。
蓮花鷺図二曲屏風
青木生沖